地域の伝説を彫物に①「信太・幸地区編」
だんじり彫刻の主な題材は、天の岩戸等の「神話物」・義経記や太閤記・太平記等の 「合戦物」が多いですが泉州地域のだんじりを地区事に見ていくと、様々な歴史や伝説が 残っています。近年、新調されただんじりや大修理を行っただんじりの彫物をじっくり 見ていくと、各地区に残っている伝説を彫物にする町が増えてきました。 今回は一回目と題して「信太・幸地区」にまつわる彫物を紹介します。 信太・幸地区の祭礼では全部で九台のだんじりが曳行されていますが、その過半数の町が 地域にまつわる題材を彫物にしています。この地域には「葛の葉稲荷神社」という神社が あります。その昔、安倍保名という人物がおりました。出世祈願として葛の葉稲荷へ参拝 した後の帰り道に、狩人に追われた一匹の白狐を助けました。狐は安倍保名に恩返しを する為に葛の葉という女性に化けて現れます。その後に二人は夫婦となり子どもを授かり ました。この子どもが後の陰陽師安倍晴明です。子どもに狐の姿を見られてしまった葛の 葉は筆を口にくわえて障子に書き残した一首がとても有名です。「恋しくば 尋ねきてみよ 和泉なる 信太の森のうらみ葛の葉」この詩は同町、葛の葉町だんじり小屋にも書かれております。信太・幸地区祭礼時には一度、歴史のある「泉州は信太の森・葛の葉稲荷神社」 へ足を運んでみるのもいいかもしれませんね。
![]() (和泉市信太・幸地区尾井町) |
![]() (和泉市信太・幸地区太町) |
![]() (和泉市信太・幸地区宮本町) |
余談ですが、尾井町内に鎮座する「旧府神社」にも葛の葉狐にまつわるものが残っているそうです。それでは信太・幸地区にゆかりのある彫物を彫っているだんじりを紹介します。まずは平成二十二年に新調された上代町のだんじりです。このだんじりは、町内にある黄金塚古墳から出土した国の重要文化財「画文帯四神四獣鏡」を持った木鼻や、だんじりの鳴物座位置には先代だんじりを継承する獅噛が彫られております。また小屋根枡合は「神功皇后縁起」で統一されております。続いて太町のだんじりの正面大連子には「信太城合戦」が彫られており、纏は先代だんじりを継承する獅噛が!!番号持ちには町名の「太」にちなんで鯛を担いだえべっさんが彫られております。次に尾井町のだんじりには、町内にある「旧府神社」にまつわる神功皇后を番号持ちとし、大屋根正面枡合には先程紹介させていただいた「葛の葉狐」にまつわる題材、「葛の葉子別れの図」が彫られております。先程、余談で紹介したように白狐が追っ手から逃げる際に化けたと言われている白狐化石が旧府神社に残っています。幟台には先代だんじりを継承する「猩猩」(お酒の神様)が彫られております。続いて、聖神社の氏子・宮本町のだんじりには、聖神社宮入時に行われる各町輪番制でまわる神輿渡御の際に執り行われる、神輿に御神体を移す「聖神社大祭」が大屋根正面枡合に彫られております。また大屋根左右の二重枡合には「弓祭」と「角力祭」があり、車板や大屋根後面枡合は「小栗街道縁起」、小屋根廻りには「葛の葉狐」にまつわる題材が彫られてあります。信太・幸地区にゆかりのある彫物が多く刻み込まれています。最後は幸のだんじりです。 幸のだんじりに取り付けられている番号持ちは葛の葉狐の子どもで陰陽師としても有名な「安倍晴明」、小屋根懸魚には「葛の葉子別れの図」、竹の節には「阿吽の狐」が彫られております。






